高齢者の口腔ケアを家族でサポート!介護中にできるやさしいお口の手入れ法

高齢になると身体の機能が衰えるのと同時に、口腔内の健康も維持しにくくなっていきます。ご家族の介護をされている方の中には、「最近、口の中が乾いているように見える」「食べ物がうまく飲み込めていない気がする」「歯磨きを嫌がるようになった」と感じることはありませんか?
高齢者の口腔ケアは、単に「歯を磨く」だけではなく、誤嚥性肺炎の予防や栄養状態の改善、生活の質(QOL)を高めるためにもとても大切です。本記事では、介護をされているご家族の方に向けて、「高齢者にやさしいお口の手入れ方法」や「無理なく続けられるケアのコツ」、そして「口腔ケアに関する最新の知識」をわかりやすくご紹介します。
なぜ高齢者の口腔ケアが重要なのか?
● 誤嚥性肺炎の予防
高齢者の死因の上位にある「誤嚥性肺炎」。これは、食べ物や唾液に含まれる細菌が誤って気管に入り、肺に炎症を引き起こす病気です。加齢により嚥下機能(飲み込む力)が低下することで起こります。口腔内が不衛生だと細菌が繁殖しやすくなり、肺への侵入リスクが高まります。
● 食事・会話・笑顔の質が変わる
歯が汚れていたり、入れ歯が合っていなかったりすると、食事を避けるようになります。これは栄養失調や筋力低下にもつながります。また、口臭や見た目の問題から会話や笑顔を控えるようになると、精神的な健康にも悪影響を与えます。
● 認知症との関係
最近の研究では、口腔内の健康と認知症の関連性も指摘されています。噛む刺激が脳への刺激となり、記憶や判断力の維持に影響を与えることが分かってきました。つまり、日々の口腔ケアが、認知機能の低下を防ぐ一助となるのです。
介護中にできるやさしい口腔ケアの基本
● 1. 歯磨きのサポート方法
高齢者の中には、手指が不自由になって自分で歯を磨けない方もいます。そんなときは、以下のような手順でやさしくサポートしましょう。
【準備物】
- ・柔らかめの歯ブラシ
- ・歯間ブラシやデンタルフロス
- ・洗口剤(ノンアルコールタイプ)
- ・口腔用スポンジブラシ(口腔内清拭用)
【磨き方のポイント】
- 1.座位を取ってもらう
可能であれば、椅子や車椅子に座ってもらい、安定した姿勢を保ちましょう。 - 2.口を開けすぎないように注意
大きく口を開けるのが苦手な方もいます。必要に応じて、指で頬や唇をやさしく広げて見やすくして磨きましょう。 - 3.前歯から奥歯まで順番に
短時間で終わらせようとせず、部分ごとに区切って丁寧に磨くと負担が少なく済みます。 - 4.痛みの確認をしながら
「ここ痛くない?」と声をかけながら進めると、相手も安心できます。
● 2. 入れ歯のケア
入れ歯も口腔内と同様に、毎日のケアが欠かせません。汚れたまま使い続けると、口臭や口内炎、感染症の原因になります。
【入れ歯ケアのポイント】
- ・毎食後に取り外し、水で洗いましょう。
- ・専用の入れ歯ブラシで、歯茎と接する部分や隙間を丁寧に洗います。
- ・就寝時には外し、入れ歯洗浄剤につけ置きしておきましょう。
- ・入れ歯が合わなくなってきたら、無理に使わず歯科を受診することが重要です。
嚥下機能を守るためのケア
口腔ケアと合わせて、「飲み込む力(嚥下力)」を保つトレーニングも大切です。
● 嚥下体操(簡単な運動)
- 1.首をゆっくり回す
- 2.「あ・い・う・え・お」と大きく口を動かして発声する
- 3.唇をすぼめたり、舌を出し入れする
これらは食事前に行うと、嚥下の準備運動になります。とくに唾液の分泌を促し、食べ物を飲み込みやすくする効果があります。
口腔乾燥(ドライマウス)への対処法
高齢者に多いトラブルのひとつが「口腔乾燥」です。加齢や薬の副作用で唾液が減り、口の中が乾いてしまいます。
● 対策法
- ・こまめな水分補給(お茶より水が望ましい)
- ・口腔保湿ジェルの活用
- ・部屋の加湿
- ・唾液腺マッサージ(耳下腺・顎下腺・舌下腺の刺激)
特に唾液腺マッサージは、手軽で効果的です。指でやさしく耳の前、あごの下など、円を描くようにマッサージするだけでも唾液の分泌が促されます。
家族で無理なく続けるコツ
● 声かけの工夫
高齢者は、指示されると抵抗感を持つこともあります。たとえば、
「歯を磨いてあげるね」よりも
「気持ちよくなるように、お口の中をきれいにしようか」といった声かけが効果的です。
● 1日1回でもOK!
忙しい介護の中で毎食後のケアが難しい場合も、1日1回、丁寧に行うだけでも大きな効果があります。時間帯は就寝前がおすすめです。
● プロの力も借りる
地域の歯科医院や訪問歯科サービスでは、定期的な口腔チェックやケアを提供しています。介護保険が適用される場合もあり、専門的なケアとアドバイスを得ることができます。
口腔ケアに使えるおすすめグッズ
高齢者のケアを快適にするための道具も多数あります。
グッズ名 | 用途 | 特徴 |
スポンジブラシ | 口腔内の清拭 | 柔らかくて痛くない |
口腔保湿ジェル | 乾燥予防 | 無香料タイプがおすすめ |
ノンアルコール洗口液 | うがいが困難な場合に | アルコール成分がないため刺激が少ない |
入れ歯洗浄剤 | 毎晩のケアに | 除菌・脱臭効果が高い |
まとめ
高齢者の口腔ケアは、健康維持や生活の質を保つためにとても大切なケアのひとつです。加齢により唾液の分泌が減少したり、歯ぐきが弱くなったりすることで、お口の中のトラブルが増えがちになります。また、入れ歯の不具合や飲み込む力の低下によって、誤嚥性肺炎のリスクも高まります。こうしたお口のトラブルを未然に防ぐためには、ご家族によるやさしいサポートがとても効果的です。
日々のケアでは、歯みがきや入れ歯の洗浄を丁寧に行い、お口の中の状態をこまめに観察することがポイントです。ご本人が自分でうまく磨けない場合は、仕上げ磨きや口腔内の保湿を手伝ってあげるだけでも大きな支えになります。また、やさしく声をかけながらケアをすることで、精神的な安心感にもつながります。
西宮北口駅前歯科「ママとこどものはいしゃさん」では、高齢者の方やご家族への口腔ケアのアドバイスも行っております。介護中の不安や「どうケアすればいいの?」という疑問にも、丁寧にお応えいたします。西宮北口駅の北西出口から徒歩4分と通いやすい立地で、地域の皆さまのお口の健康をサポートしています。
大切なご家族がいつまでも笑顔で過ごせるように、お口のケアを通して健康づくりを一緒に始めてみませんか?お気軽にご相談ください。