口の中の細菌が全身に!?歯周病と糖尿病・心疾患の深い関係
―全身疾患との関連を医科連携の観点で解説 ―
「歯ぐきの腫れや出血くらい、大したことない」と思っていませんか？
実はその小さなサインが、全身の病気と密接に関係していることが分かっています。
歯周病は、単にお口の中の病気ではなく、全身の健康を脅かす感染症。
西宮北口駅前歯科が“歯周病と全身疾患の深い関係”について、医科連携の視点からわかりやすくご紹介します🦷💡
■ 歯周病は「お口の中の慢性炎症」
歯周病は、歯と歯ぐきの間にたまったプラーク（歯垢）に棲む細菌が原因で起こる病気です。
細菌が出す毒素によって歯ぐきに炎症が起き、やがて歯を支える骨が溶けてしまいます。
初期は「歯みがきで血が出る」程度の症状ですが、進行すると歯がぐらつき、最悪の場合は自然に抜けてしまうことも。
さらに問題なのは、この炎症が口の中だけでとどまらないことです。
歯周病菌や炎症物質が血管を通じて全身をめぐり、さまざまな疾患に影響を及ぼすことがわかっています。
■ 歯周病菌が血管に侵入する!?
歯ぐきが炎症を起こすと、血管の壁が傷つき、細菌やその毒素（エンドトキシン）が血流に入り込みやすくなります。
つまり、歯周ポケットの中で増えた細菌が、血液を介して全身に運ばれるのです。
これにより体の免疫反応が活発化し、全身の炎症レベルが上昇。
この“慢性炎症”こそが、糖尿病や動脈硬化、心臓病などのリスクを高める要因と考えられています。
■ 歯周病と糖尿病は「相互関係」にある
歯周病と糖尿病の関係は非常に深く、「お互いに悪化させ合う」関係にあります。
糖尿病では血糖値が高いため、血管がもろくなり、歯ぐきの抵抗力が下がります。
その結果、歯周病菌が繁殖しやすくなり、炎症が進行します。
一方、歯周病があると、炎症によってインスリン（血糖を下げるホルモン）の働きを阻害する物質が分泌され、血糖コントロールが難しくなります。
つまり、
- 〇糖尿病 → 歯周病が悪化しやすい
- 〇歯周病 → 糖尿病が悪化しやすい
という“悪循環”が起こるのです。
実際に、歯周病治療を行うことで血糖値（HbA1c）が改善するという研究結果も報告されています。
■ 歯周病と心疾患・脳梗塞の関係
歯周病菌は血管内に侵入すると、動脈硬化を引き起こすことがあります。
細菌や炎症物質が血管の内側にダメージを与えることで、血管壁にコレステロールなどが沈着し、血管が狭く硬くなります。
これが進行すると、心筋梗塞や脳梗塞の原因になることがあります。
さらに、歯周病菌が心臓の内膜に感染し、感染性心内膜炎を引き起こすケースもあります。
特に心臓に人工弁がある方や、先天的心疾患を持つ方は注意が必要です。
そのため、医科では心臓手術や糖尿病治療の前に、口腔内の感染源（歯周病・虫歯）の除去をすすめるケースが増えています。
■ 妊娠中の歯周病にも要注意
妊娠中の方も歯周病の影響を受けやすい時期です。
妊娠によるホルモン変化で歯ぐきが腫れやすく、炎症が起こりやすくなります。
さらに、歯周病菌が体内に侵入すると、早産や低体重児出産のリスクを高めるという研究結果もあります。
母体の健康だけでなく、赤ちゃんの発育にも関わるため、妊娠中の歯ぐきケアはとても大切です。
■ 医科連携の重要性 ― お口と体をつなぐ診療へ
西宮北口駅前歯科では、地域の医療機関と連携し、全身の健康を考えた歯科診療を行っています。
糖尿病や心疾患のある患者さまの場合、主治医との情報共有を行いながら安全に治療を進めることが大切です。
また、患者さまの血糖値やお薬の情報をもとに、出血や感染リスクを考慮して治療を行います。
医科と歯科が連携することで、より安心・安全に治療が受けられ、全身の健康維持にもつながります。
■ “菌チェック”でリスクを「見える化」
当院では、位相差顕微鏡による菌チェックを導入しています。
これは、お口の中のプラークを採取し、顕微鏡で生きた菌を観察する検査です。
実際に歯周病菌の動きを見ることで、
「自分のお口にどんな菌がいるのか」
「今のケアで改善しているか」
を明確に把握できます。
こうした“見える診療”を通して、患者さま自身が歯周病予防に積極的に取り組めるようサポートしています✨
■ 歯周病を予防するためにできること
全身の健康を守るためには、まずお口の健康を整えることが第一歩です。
1️⃣ 毎日のセルフケア
歯ブラシ・フロス・歯間ブラシを使い分け、歯と歯ぐきの間を丁寧に清掃します。
2️⃣ 定期的なプロフェッショナルケア
歯科医院でのクリーニング（歯石除去・バイオフィルム除去）は、家庭では届かない部分のケアに効果的です。
3️⃣ 生活習慣の見直し
喫煙・ストレス・不規則な生活は歯周病のリスクを高めます。
栄養バランスのとれた食事と十分な睡眠も、免疫力維持に大切です。
■ まとめ
歯周病は「お口の病気」でありながら、
糖尿病・心疾患・脳血管疾患など全身の病気と深くつながることがわかっています。
西宮北口駅前歯科では、
- 〇位相差顕微鏡による菌チェック
- 〇医科との連携治療
- 〇定期的な歯周病ケア
を通じて、お口と体の両方を守る医療を目指しています。
お口の健康は、全身の健康の入り口です。
「歯ぐきの腫れ」「出血」「口臭」などのサインを感じたら、ぜひ早めにご相談ください🌿
